自分がお客の立場になれば、当然のことして、同じものなら安いものを買います。この事は消費者心理の大原則です。
販売者の立場としては、この原則を踏まえて自社の商品やサービスを考えなければなりません。考え方の分類としては3つに分けられます。

1)他社の商品と同じなので、とにかく低価格設定
他社と比較しても安くなければなりません。当然他社も値下げ努力をしますので、特別な仕入れやコストカットの仕組みがなければ実現、継続はできません。同じ土俵には膨大な競合がおり、ネットの普及により勝者は常に1社しかいません。
メリット:実現すれば効果は絶大。
デメリット:最も安易な販促方法なので簡単には勝てない。利益が出にくく疲弊する。

2)他社の商品とは違うので競合しない
商品としては理想的ですが、その違いがお客のニーズと合っているのかが重要になります。また、違いを効果的にアピールする工夫が必要です。
メリット:実現すれば一人勝ち
デメリット:開発能力と市場調査・分析が重要

3)他社の商品と同じだが、付加価値をつけて差別化する
上記2つに当てはまらない場合には、この方法しかありません。また、この分類を選択するケースが現実的に最も多くなるはずです。
メリット:他社との差別化で有利に立てる
デメリット:アイデアとアピール力が問われる

これら3つの分類で最も理想的なものは2です。しかし、現実的には簡単にはいきません。世の中には商品やサービスが溢れかえっています。ましてインターネットという誰でも情報発信、情報収集ができる媒体が普及したことで、商圏の垣根もなくなってしまいました。
しかし、最初から2は無理でも、工夫により2を目指すことは不可能ではありません。商品は他社と同じでも、2につなげる具体的な方法を考えてみましょう。方法は2つ。

A)商品の価値の定義を提案する
全く同じ商品であっても、その利用法の提案が違えば差別化は図れます。例としてはジャパネットたかたの販売方法にあります。この会社では製造メーカーが販売を依頼する商品を、メーカー側の宣伝文句で宣伝することはしません。まずはスタッフに使わせて、そこで感じたことを宣伝文句にします。例えばビジネス向けのボイスレコーダーの場合、「家族間でのメッセージボードとして便利」という新しい利用価値を提案しています。実際にこの宣伝で大幅に販売が伸びました。

B)商品以外の付加価値をつける
今の時代、物だけを右から左に販売するだけが価値ではありません。さらに、商品だけではリピートや囲い込みにもつながりにくくなります。そこで重要になるのが、付加価値です。例えばアフターフォローやサポートなどです。「今どきフォローやサポートぐらい他社もしてるよ」と考えていては先には進めません。「ただのサポートではありません。」と風呂敷を広げましょう。購入者にとって魅力的なサポートを魅力的なネーミングや魅力的な定義でアピールすることで、例え他社の商品と同じでも、「どうせ買うならこの会社から」と思わせましょう。